国本はる乃 浪曲「亀甲組」
2021年9月7日 浅草・浪曲定席木馬亭にて収録 曲師は沢村美舟
亀甲組〜お里の身請け 口演 国本はる乃 曲師 沢村美舟
〽 こんなはずではなかったのに
なぜか浮世は住みにくい
辛い悲しいその時は
思案尽きての神頼み
すがる三鈴の力綱
それでどうにもならない時は
天道様の無駄光り
〽 神も仏も無いと言う
祖神も仏も薄情け
なさるつもりじゃあるまいな
日頃怠けている人が
小銭一つを投げ込んで
両手合わせて願わくば
家内安全、商売も
どうぞ繁盛致させ給え
五穀豊穣やがて来る
嫁も当たってくれるよう
もののついでに今日買った
宝くじまで当たるよう
欲しい物皆束にして
頼むその人その人ごとに
物を授けていたならば
神のお蔵はたまらない
以上が本来の外題付、金策の嘆きから始まります。今回は浪曲定席の口演時間の都合で啖呵から始まった。
明治二十一年から始まりました関西鉄道工事、柘植(つげ)亀山間のトンネル工事を一手に引き受けたのが島ヶ原で亀甲組・遠山五郎蔵という若手の土木請負師。この人の仕事に横槍を入れたのが伊勢の二引仁造。亀甲組と二引組、男たちの熱い戦いを描く作品で上演は「お里の身請け」のエピソード。
切れの良い啖呵に程よく三味線がからむ、はる乃の所作も見事で「うまぞ」と武春の掛け声がかかりそう。はる乃美船コンビ、春秋に富む一席となりました。